大上に「Science Tokyoの星」特別賞【STAR】が授与されました
大上准教授が、2024年度「Science Tokyoの星」特別賞【STAR】に選定され、2025年3月3日に受賞式が行われました。
「Science Tokyoの星」特別賞【STAR】 (Special Award for Science Tokyo Advanced Researchers) とは、東京科学大学基金を活用し、将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者や、基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者へ大型研究費の支援を行うもので、次世代を担う、本学の輝く「星」を支援するものです。平成25年度に開始され、2024年度の本年は全学から2名が選定されました。
「Science Tokyoの星」特別賞【STAR】
https://www.rdc.isct.ac.jp/sci-eng/research-funding/advanced-researchers/

【モダリティを横断する創薬インフォマティクスの開拓】
最近、ニュースで「薬価」という言葉をよく耳にします。これは、医療費が高騰しているという話題とともに出てくることが多いですが、実は新しい薬を開発するには、10年以上の時間と数千億円もの研究開発費が必要なのです。また、従来にない治療法を考案するためには、さまざまな可能性を組み合わせて検討することが求められます。つまり、創薬は高度化し、ますます難しく、コストもかかるプロセスとなっています。一方で、AIなどの計算技術は急速に進歩しています。これらの技術をどのように創薬に応用して、新しい薬の開発に役立てるかが現在の大きな課題です。私の研究は、コンピューターを用いて新しい分子の設計方法を提案する技術の開発に取り組むものです。特に、近年は低分子化合物、ペプチド、核酸、抗体など、扱う分子の種類=モダリティが多様化しているため、それぞれの性質に合わせた技術の開発が必要となっています。具体例として、低分子化合物向けの自由エネルギー摂動法計算技術(FastLomap、PairMap)、化合物のAI予測においてその根拠を示す技術(MMGX)、さらにAlphaFoldやタンパク質言語モデルを応用した抗体医薬の設計技術などが挙げられます。これらの技術を用いながらさまざまなモダリティに対して、どの手法が最適かを模索し、実際に使える技術の実現を目指して日々研究を続けています。また、モダリティごとに特徴は異なりますが、できるだけ個別に分断せず、包括的かつ横断的なアプローチで取り組むことが、今後の創薬の発展に重要だと考えています。
受賞にあたってのコメント(大上)
このたびは「Science Tokyoの星」特別賞【STAR】に採択頂き、大変光栄に存じます。東京科学大学基金から研究費を使わせて頂くことの重みを感じております。寄附者の皆様の思いを形に変えるべく、これからも挑戦し続けていきたいと思います。東京科学大学基金の寄附者の皆さま、選考委員の皆さま、これまでご指導くださった先生方、共同研究者の皆さま、そして一緒に研究を進めている研究室メンバーに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。